2014年 2月号 NO.163
【母を語る】

「私にはおっかさんがいなかった」
船曳由美



編集者でエッセイストの船曳由美(ふなびきゆみ)さんは1938(昭和13)年、東京生まれ。東京大学文学部を卒業後、平凡社に入社。新雑誌『太陽』に関わり、のち集英社に移ってジョイス、プルーストの翻訳書などを担当しました。船曳さんの初めての著書が、老いた母からの聞き書きをもとにした『一〇〇年前の女の子』で、現代の『遠野物語』と評判を呼んでいます。「生涯会うことのなかった実の母親への思いを解き放った母は、明治・大正時代の農村の四季や行事についても驚くほど鮮明な記憶を持っていた」と船曳さんは語ります。 [聞き手 遠藤ふき子]