2008年 12月号 NO.101
【こころの時代】

亡き妻が導いた般若心経
阿部健治



 山形県鶴岡市で鍼《はり》治療院を経営する阿部健治《あべけんじ》さん(58歳)は、大学生だった1968(昭和43)年、野球のボールを目に受けて網膜剥離《はくり》を起こしました。そのとき入院した病院で看護実習をしていたのが、後に妻となるうめ子さんでした。2人は7年間の交際期間を経て結婚。子どもにも恵まれ、順風満帆の生活でした。しかし4年後、阿部さんに網膜剥離が再発し、治療のかいなく失明してしまいます。一時は絶望した阿部さんが鍼灸師《しんきゅうし》として再出発を果たした陰には、妻・うめ子さんの励ましと支えがありました。 [聞き手 川野楠己《くすみ》]