2004年 6月号 NO.47
【こころの時代】

年を重ねる効用〜うつを生き延びて
南木佳士



内科医で作家の南木佳士《なぎけいし》さんは、1951(昭和26)年、群馬県の出身です。秋田大学医学部を卒業後、故郷に近い長野県の佐久総合病院に内科医として勤務するかたわら、小説を書き、81年に「破水」で文学界新人賞を、88年に「ダイヤモンドダスト」で芥川賞を受賞しました。  医療現場で肺がんの診断と治療に従事し、多くの患者の死に立ち会う生活を続けていた38歳のときに、パニック障害を発病。以来、10年以上の歳月をうつ病に悩まされながら、医師と小説家の仕事を続けてきました。最悪のときには死の誘惑にかられたこともあるという南木さんが、発病から現在までの軌跡を語ります。[聞き手 鈴木健次]