2014年 12月号 NO.173
【歴史に親しむ】

平安貴族は激務の毎日
倉本一宏



『源氏物語』などで華やかな面が想像されることの多い平安時代の貴族の生活ですが、その内実はなかなか苦労が絶えなかったようです。国際日本文化研究センター教授・倉本一宏(くらもとかずひろ)さんは、時の権力者・藤原道長(ふじわらのみちなが)(966〜1027)が遺(のこ)した日記『御堂関白記(みどうかんぱくき)』の研究から、『藤原道長「御堂関白記」を読む』(講談社選書メチエ)、『藤原道長の日常生活』(講談社現代新書)など多くの書を著し、道長の素顔や平安貴族の暮らしぶりを浮かび上がらせています。男性貴族は儀式や人事に精力を注ぐハードな勤務で、また失敗を非常におそれ、常に神経を使う日々だったなど、千年前のリアルな宮廷事情を知るほどに、歴史書や古典文学の味わいも深まります。 [聞き手 川野一宇]