2007年 2月号 NO.79
【わが心の人】

母、金子みすゞを想う
上村ふさえ



「私《わたし》と小鳥と鈴と」「明るい方へ」など、時代を超えて人々の心をとらえ続ける童謡詩人・金子みすゞ。上村《かみむら》ふさえさんは、そのみすゞの一人娘です。上村さんは1926(大正15)年、山口県下関市に生まれました。みすゞが自らの命を絶ったのは、ふさえさん三歳のときのことでした。「なぜ、私を残して死んだのか」──。母の死のいきさつを知って以後、ふさえさんは長い間、母・みすゞを許すことができませんでした。しかし、年齢を重ねながらみすゞのことを知るにつれ、今ようやく、母・金子みすゞがどれほどの愛情を注いでくれたかが実感できるようになったと言います。 [聞き手 迎康子]