物体に取り付けることで、物体の3 次元位置と姿勢をリアルタイムに計測することができる新しいタイプの自立型センサーに関する技術です。
利用分野
・バーチャルスタジオにおける撮影映像に連動したCG のリアルタイム合成
・撮影映像とともに蓄積したカメラの動きデータを利用した合成映像制作
・屋外作業ロボット、自動搬送車などの自己位置や姿勢の計測・推定
特長
(1)コンパクトな形状で、様々なものに取り付けることができ、物体の3 次元位置(x、y、z)と姿勢角(ロール、ピッチ、ヨー)を高精度にリアルタイムに計測できます。
(2)屋内だけでなく、屋外の環境下でも使用可能です。
技術解説
放送局では、実写とCG をリアルタイムに合成するバーチャルスタジオが頻繁に活用されています。合成にはカメラがどのように動いて撮影しているかのデータが不可欠であり、これまでは各種センサーが取り付けられた特殊な三脚(ペデスタル)を使用していました。このため、一般的な番組でよく活用されているハンディカメラ(手持ちカメラ)は使用できず、機動性の面で課題がありました。そこで、カメラ本体に取り付けることでカメラの動きを計測することが可能なセンサーを開発しました。ここで紹介するのは、カメラを含め、物体の3 次元位置と姿勢角をリアルタイムに計測することができる自立型のセンサーに関する技術です。
(1)3次元位置の計測
床面を撮影する専用の小型カメラの映像を画像処理にて解析することで物体の2 次元位置を計測します。床面が動いていなければ、小型カメラで撮影した画像の動きは、取り付けた物体の動きと同等になります。そこで、得られた画像を粒子画像流速測定法(PIV)によって解析することで速度を求め、平面上での物体の位置を計算しています。小型カメラのユニットをモーターによって床面の方向に向くようにサーボで制御することで画像処理を高速化し、高精度化も図っています。高さに関してはレーザーを床面に照射し、反射光を計測することで計測します。
(2)姿勢角の計測
3 つのジャイロセンサーと3 つの加速度センサーを集積した微小電子機械素子(MEMS)を用いて姿勢角を計測します。ドリフトによる変動を抑制するため、低周波数域では加速度センサーの値を用い、それ以上ではジャイロセンサーの値を用います。高度な温度補償、フィルタリング技術で高精度化を実現しています。
提供可能な技術
・物体の姿勢角を計測するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサー技術
・PIV(Particle Image Velocimetry)技術を用いた物体の3 次元位置を計測する画像処理技術
関連特許
・特許第5941261号 位置計測装置及び位置計測システム
・特許第5771117号 移動距離計測装置及び撮影カメラ
≪キーワード≫ 3 次元位置 / MEMS / PIV / カメラデータ / 姿勢角 / 慣性センサー
本技術の利用に関するご相談窓口:URL https://www.nhk-fdn.or.jp/es/transfer/contact.html