NHK技術カタログ

インテグラル3D方式の水平視域拡張技術

インテグラル3D方式による三次元映像の視域(三次元映像を適正に視認できる範囲)を拡張する技術です。この技術を適用することで水平視域を広げることができるため、多人数での同時視聴など、より広い範囲で三次元映像を視聴することが可能となります。

利用分野

・教育、医療、広告、デザイン、情報案内、娯楽分野などにおいて、インテグラル3D 方式コンテンツの撮影および表示

特長

(1)三次元映像の水平視域を広げることができ、インテグラル3D 方式コンテンツがより見やすくなります。

技術解説

普段私たちが物を見ている状態をそのまま再現できれば、自然な三次元映像として認識することがで きます。インテグラル3D ディスプレーは、平面ディスプレーと多数の微小レンズ(要素レンズ)を二次元的に配置したレンズアレーから構成されます。平面ディスプレーに三次元映像用の微小な二次元画像群(要素画像群)を表示することにより、各画素からの光が要素レンズを通過して光線となり、被写体が光学像として再現されます。
インテグラル3D ディスプレーでは、平面ディスプレーの画素数が、三次元映像の画素数と視域、お よび再現可能な奥行き範囲の3種類のパラメーターに振り分けられます。これらはトレードオフの関係にあるため、平面ディスプレーの画素数を効果的に振り分けることが重要となります。視域に着目すると、垂直視域よりも水平視域を広げた方が、多人数での同時視聴が可能となるなど、3D ディスプレーの用途に適していると考えられます。

(1)従来技術の課題
三次元映像の視域は、要素画像の形状で決まります。従来技術では、要素レンズの形状に合わせて要素画像も円形であったため、視域は等方的な円錐形状となり、垂直方向より水平方向が広い視域を設計することができませんでした。要素レンズと要素画像を間引き、他の形状の要素画像を表示することにより、所望の形状で視域を設計することも可能ですが、三次元映像の画素数は要素レンズの数で決まるため、三次元映像の解像度が低下するという問題が生じます。

(2)本技術の特長
本技術では、水平方向を長手とする長方形の要素画像を用いて、その上に要素レンズが水平方向に隣接しないようにレンズアレーを配置することにより、三次元映像の解像度を維持したまま、水平方向の視域を広げることができます。一方で、垂直方向の視域は狭くなりますが、通常の用途では水平方向の視域が広いことが望ましく、より見やすい3D ディスプレーの実現が期待できます。

提供可能な技術

・水平視域を拡張したインテグラル3D コンテンツを撮影する技術
・水平視域を拡張したインテグラル3D コンテンツを表示する技術

関連特許

特許第5767502号 立体映像表示装置
・特許第5809577号 立体映像撮像装置
・特許第5840050号 立体映像撮像装置
特許第6288820号 立体像撮影装置、要素画像群生成装置、そのプログラムと立体像表示装置
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHK財団のWebサイトから離れます)

≪キーワード≫ インテグラル3D 方式 / メガネなし3D 映像

本技術の利用に関するご相談窓口:URL https://www.nhk-fdn.or.jp/es/transfer/contact.html