国際標準の動画配信方式であるMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)を応用し、番組途中への動画挿入・差し替え、マルチアングル映像・多言語音声切り替えなどが可能な動画配信サービスを提供するための技術です。
利用分野
・ハイブリッドキャストをはじめとするテレビ向け動画配信
・PC、スマートフォン向け動画配信
・放送通信連携アプリケーションの開発
特長
(1)番組の途中に、視聴者ごとに異なる動画クリップを途切れなく挿入できます。
(2)マルチアングル映像や多言語の音声をそれぞれ切り替えて視聴できます。
技術解説
MPEG-DASH はWeb ブラウザーで視聴可能なHTTP ストリーミングによる動画配信方式です。
MPEG-DASH のコンテンツは、動画を数秒単位に分割したセグメントとそのメタデータであるMPD(Media Presentation Description) の2 種類のファイルから構成されます。送信側では、番組ごとのセグメントを配信サーバーに蓄積するとともに、配信サーバーの所在や番組の送出順、番組に含まれる映像・音声の情報を記述したMPD を生成し、MPD 配信サーバーに蓄積します。受信側では、MPD 配信サーバーからMPD を取得し、その記述内容を把握することで、視聴者の好みや視聴環境に応じてさまざまなサーバーに置かれた番組をシームレスにつなぎあわせて再生することができます。
こうしたMPEG-DASH の特徴を応用することで、以下のような動画配信サービスを行うことができます。
(1)動画挿入・差し替え技術
下図に示すように、番組本編の配信サーバーのほかに、別々の動画クリップ(例えばスポット広告)を提供する複数のサーバーを配置し、視聴者ごとに動画クリップの配信元が異なるMPD を用意することで、番組本編に挿入する動画クリップを視聴者に応じて差し替えることができます。
(2)マルチアングル映像・多言語音声切り替え技術
MPEG-DASH では、同じメディア形式(映像、音声、テキストなど)であっても、表現の異なるメディア(別角度の映像や多言語の音声)を複数含んだコンテンツを記述することができます。この機能を応用することにより、マルチアングル映像から一つの映像を選択し途中で切り替えたり、日本語と英語あるいは主音声と副音声を切り替えたりして視聴することができます。
(3)MPEG-DASH視聴プレーヤー
前述の動画挿入・差し替えやメディア選択が可能で、テレビ、スマートフォン、タブレット、PCなどの端末のWeb ブラウザーで共通に動作するMPEG-DASH 視聴プレーヤーを開発しました。
提供可能な技術
・MPEG-DASH 視聴プレーヤーの利用法やアプリケーションの実装例の紹介
・上記アプリケーションを実現するためのMPEG-DASH コンテンツ生成技術
関連特許
・特許第6535273号 受信装置、セグメント取得方法、及びプログラム
・特許第6581884号 受信装置、バッファ管理方法、及びプログラム
・特許第6626696号 受信装置、マニフェスト更新方法、及びプログラム
・特許第6609468号 受信装置、再生時刻制御方法、及びプログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHK財団のWebサイトから離れます)
≪キーワード≫ ハイブリッドキャスト / マルチビュー視聴 / 多言語音声 / 広告挿入
本技術の利用に関するご相談窓口:URL https://www.nhk-fdn.or.jp/es/transfer/contact.html