1台の高精細な8Kカメラで撮影した広角映像から、複数の領域を半自動的に切り出し、2Kカメラ相当で出力することで、少人数でのマルチカメラ番組制作※が可能になります。
利用分野
・音楽・情報番組の制作
・イベントなど、配信番組の制作
特長
(1)AIを活用して被写体の領域情報を生成できます。
(2) 切り出し制御ソフトウェアにより映像のスイッチングが可能です。
(3)ソフトウェア制御による滑らかな仮想カメラワークを実現します。
技術解説
8K映像切り出し制作システムでは、広い画角で撮影した8K映像から、指定した領域(関心領域(ROI:Region of Interest))を仮想的にハイビジョン(2K)カメラ映像として切り出すことができます。8K映像は2K映像の16倍の画素数があることから、映像を切り出しても2Kカメラ相当の解像度が維持されます。複数の仮想カメラ映像を設定し、切り替えて出力することで、複数台のカメラ映像を使用した場合と同等の番組制作が可能になります。さらに、AIを活用して、自動で切り出し範囲を設定することもできます。これにより、少人数でのマルチカメラ番組制作が可能になるだけでなく、機材量の削減や設営時間の短縮なども可能になります。
(1)被写体領域情報を生成する「AI被写体検出ソフトウェア」
AI を活用して、8K 映像内の被写体位置情報をリアルタイムに取得し、取得した位置情報から複数の仮想カメラの切り出し範囲の領域情報を生成できます。
音楽コンクールの例では、AI がステージ上の人数を検出し、全体領域(赤枠)、下手領域(黄枠)、中央領域(紫枠)、上手領域(青枠)の4 つの領域情報を生成します。
(2) 映像スイッチングと仮想カメラワーク機能を有する「切り出し制御ソフトウェア」
従来の一般的な映像切り出しシステムでは、ジョイスティックなどのコントローラーにより、切り出し範囲の調節やパンやズームなどのカメラワーク制御を行うため、操作の習熟訓練や高い操作技術が必要となります。また、複数の切り出し映像をスイッチングする演出を行うためには、スイッチャーなどの機器も必要となります。
本ソフトウェアでは、簡易なマウス・キーボード操作により、切り出し範囲の調整や、カメラ操作に相当するパンやズームなどのカメラワーク制御、仮想カメラの映像スイッチングなど、マルチカメラ番組制作における基本的な映像表現が、1つの切り出し制御ソフトウェアにより可能となります。
提供可能な技術
・8K切り出し制作システムの構築技術
・AIを用いた被写体検出による領域情報生成技術
・映像スイッチングと仮想カメラワーク機能を有する制御ソフトウェア技術
関連特許
・特許第7304704号 画像切出装置、画像解析装置及びプログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHK財団のWebサイトから離れます)
≪キーワード≫8K / ROI(関心領域)/ AI被写体検出/カメラワーク/制作システム
本技術の利用に関するご相談窓口:URL https://www.nhk-fdn.or.jp/es/transfer/contact.html