信号処理回路を多層化して画素並列動作を可能とした3 次元構造撮像デバイスに関する技術です。カメラの多画素化、高フレームレート化、広ダイナミックレンジ化に適しています。
利用分野
・放送用、業務用、民生用カメラ
・車載用、ロボット用などの産業用センサー
・計測用、学術用などの光検出センサー
特長
(1)多画素化と高フレームレート化の両立が可能です。
(2)ダイナミックレンジが広く、明るいシーンでも撮影が可能です。
(3)高速撮影にも適しています。
技術解説
3次元構造撮像デバイスは、受光部や信号処理回路を備えた複数の基板を積層した構造で、受光部の直下に画素ごとに信号処理回路を集積して、全画素並列で信号処理を行います(画素並列信号処理)。画素の列ごとに多数の画素の信号を1つずつ順番に処理して出力する従来方式(列並列信号処理)と異なり、画素数に関わらず1 画面を1 回の信号処理で出力できるため、多画素化と高フレームレート化の両立が可能です。また、独自の信号処理方式により、ダイナミックレンジが広いことも特長です。
(1)3次元構造撮像デバイスの形成技術
画素単位の信号伝達を実現するために、受光部や信号処理回路を備えた複数の基板に微細な金の電極を埋め込み、この電極どうしを画素ごとに接続する構造を用いています。受光部や信号処理回路の真上・真下に電極を形成する技術や、複数の基板に分割して配置した信号処理回路を多層積層する技術を用います。
(2)信号処理回路の設計技術
信号処理は画素内でパルスを発生する独自の方式です。入射光により受光部のフォトダイオードが基準電圧に達すると、パルスを発生すると同時にフォトダイオードをリセットして空にします。パルス数を数えることで、明るさをデジタル値に変換します。一般的な撮像デバイスと異なり、フォトダイオードの飽和による出力の制限がないので、ダイナミックレンジが広く、明るい被写体の階調を忠実に再現できます。また、一般的な撮像デバイス(10 ~ 12 ビット出力)を超える16 ビット出力にも対応します(図)。
提供可能な技術
・3 次元構造撮像デバイスの形成技術
・画素並列信号処理回路の設計、評価技術
関連特許
・特許第5956736号 積層型半導体装置及びその製造方法
・特許第6535163号 信号処理回路及びイメージセンサ
・特許第6302350号 信号電荷のA / D 変換回路、信号読み出し回路及び固体撮像素子
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHK財団のWebサイトから離れます)
≪キーワード≫ 3次元集積化/画素並列/ A/D 変換回路/ダイナミックレンジ/撮像デバイス
本技術の利用に関するご相談窓口:URL https://www.nhk-fdn.or.jp/es/transfer/contact.html