NHK技術カタログ

3次元音響空間の収音・制作・再生技術

3次元空間のさまざまな方向から到来する音をマイクロホンで収録し、その音の大きさや方向、響き、広がり感などといった音響空間印象を、スピーカーやヘッドホンによって再現するための技術です。

利用分野

・映画や放送番組のための収音、コンテンツ制作および音響再生
・劇場やコンサートホールの収音、コンテンツ制作および音響再生
・博物館や展示会向けコンテンツ制作のための収音および音響再生

特長

(1)3次元空間のさまざまな方向から到来する音を簡易に収音できます。
(2)3次元の音響空間を再現するコンテンツの制作を支援します。
(3)さまざまなリスニング環境に合わせた3 次元音響の再生が可能です。

技術解説

人は左右の耳で3 次元方向から到来する音をとらえ、その音の方向を知覚することができます。また、3 次元空間に散らばった複数の音源や壁面などからの反射音で構成される3 次元音場では、響き感、広がり感、包み込まれ感などさまざまな音響空間印象を感じることができます。
人が感じることができる音響空間印象を再現する技術が3 次元音響の収音・制作・再生技術です。最近では、映画館、コンサート、パブリックビューイングなどでも、ふだん私たちが体験している音響空間印象を再現しようという試みが行われていますが、実際の音響空間を収音する技術、3 次元の音響空間を再現するコンテンツを制作する技術、そして制作された3 次元音響コンテンツを再生する技術はまだ確立しておらず、専門家も極めて少ないのが現状です。ここで紹介するのは、3 次元音響による収音、制作、再生を実際に行うための技術です。

(1)収音技術
3次元方向から到来する音を、簡易かつ手軽に収音する技術です。すでに映画や放送で用いられている5.1ch サラウンド音響の技術より高度な収音を実現できます。

(2)制作技術
3次元音響コンテンツを簡便に制作する技術です。音響空間を構成するさまざまな音の聞こえる方向を自由自在に制御することができます。また、コンテンツのシーンに合わせて音響空間印象を調節するため、コンサートホールやスタジオなどのさまざまな響きを素材音に付加(3 次元残響付加)することも可能です。

(3)再生技術
3次元音響コンテンツを再生するための技術です。広さ、スピーカーを設置できる場所などの環境に応じて選択できる複数の再生方法があります。また、ヘッドホンで3 次元音響を再生することも可能です。

提供可能な技術

・3次元音響収音技術
・3次元音響制作技術(音像位置制御、残響測定、残響付加技術)
・3次元音響再生技術(スピーカーによる再生技術、ヘッドホンによる再生技術)

関連特許

特許第4922211号 音響信号変換装置、その方法及びそのプログラム
特許第5010185号 3 次元音響パンニング装置
特許第5175239号 収音装置
特許第5604365号 多チャンネルスピーカ装置
特許第6212336号 インパルス応答生成装置及びインパルス応答生成プログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHK財団のWebサイトから離れます)

≪キーワード≫ 3次元音響 / 再生 / 制作 / 収音

本技術の利用に関するご相談窓口:URL https://www.nhk-fdn.or.jp/es/transfer/contact.html