前方に配置したラインアレースピーカーを使って後方や側方、上方から聞こえる音を再現し、3 次元音響を再生するための技術です。
利用分野
・テレビ受信機やオーディオ機器などでの3次元音響再生
・博物館や展示会での3次元音響再生
・3次元音響再生を伴うサイネージでの利用
特長
(1) 前方のスピーカーのみで3次元音響再生が可能なため、コンパクトな3 次元音響システムの構築が可能です。
(2) 遅延の少ない信号処理方法を採用しており、映像システムとの同期が容易です。
技術解説
映画や放送で採用されている11.1ch サラウンドや22.2 マルチチャンネル音響など、複数のスピーカーを視聴者の周囲に配置した3 次元音響の再生が試みられています。しかし、視聴位置の後方や側方、上方に多数のスピーカーを配置することは容易ではなく、このことが3 次元音響普及の妨げとなっていました。
ここで紹介するのは、視聴者の周囲に多数のスピーカーを配置することなく3 次元音響を再生するための技術です。
(1) ラインアレースピーカーによるトランスオーラル再生技術
視聴位置の前方に配置されたラインアレースピーカーで再生する音によって、リスナーの耳元にさまざまな方向から到来する音の状態を再現する技術で、スピーカーの配置されていない方向から音が聞こえてくるかのように視聴者に知覚させることができます。この技術を11.1ch サラウンドや22.2マルチチャンネル音響の各チャンネルに適用することにより、前方に配置したラインアレースピーカーのみで3 次元音響の再生が可能になります。5.1ch サラウンドなど視聴者後方にスピーカー配置を有するサラウンド再生にも適用できます。
(2) 遅延の少ない信号処理
独自の出力追従制御(アルゴリズム)により、遅延の少ない信号処理となるため、映像と同期させて3次元音響を再生することが可能です。
提供可能な技術
・3次元音響再生のための信号処理技術
・上記信号処理に係る測定技術
関連特許
・特許第6399864号 制御器設計装置、制御器設計方法及びプログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHKエンジニアリングシステムのWebサイトから離れます)
≪キーワード≫ 3 次元音響 / トランスオーラル / ラインアレースピーカー