22.2chや7.1.4chなどのマルチチャンネル音響を、音響的な特徴を保持したまま、ステレオなどに自動でダウンミックスするための技術です。
利用分野
・マルチチャンネル音響コンテンツのダウンミックス制作
・複数の音声フォーマットによるサイマル放送
特長
(1)22.2chや7.1.4chなどの様々なマルチチャンネル音響から、音質・平均ラウドネス値を保持したままダウンミックスできます。
(2)低遅延かつ全自動のリアルタイム処理なので、ライブ制作・生放送にも活用できます。
(3)音色補正技術または平均ラウドネス値補正技術として、それぞれ単体で実装できます。
技術解説
近年、放送や映画業界で22.2ch、7.1.4ch、5.1.2ch などのマルチチャンネル音響の実用化が進んでいます。一方で従来の音声フォーマットである5.1 サラウンドやステレオは、現在も多くの家庭で使用されています。そのため、マルチチャンネル音響でコンテンツを制作する際には、同時に従来の音声フォーマットでも制作する必要があります。しかしながら、ダウンミックス係数を用いて音声フォーマットを変換する従来のダウンミックス技術では、番組によっては元のマルチチャンネル音響から音響特性が大きく変化することがあり、音色の劣化および平均ラウドネス値の変化につながっていました。
そこで本技術は、元のマルチチャンネル音響の音響的な特徴に合わせて、ダウンミックスの音響特性を補正します。
提供可能な技術
(1)ダウンミックス時の音色補正技術(コヒーレンスコントロール)
従来のダウンミックス技術では複数のチャンネルが加算・重畳されることで周波数特性が元のマルチチャンネル音響から変化し、音色の劣化につながっていました。本技術は、マルチチャンネル音響の周波数特性を基準としてダウンミックスの周波数特性を補正することで、音色の劣化を抑制します。
(2)ダウンミックス時の平均ラウドネス値補正技術(ラウドネスチェイス)
現在、番組制作においては平均ラウドネス値を適正に管理する必要がありますが、従来のダウンミックス技術では平均ラウドネス値が変化することがあります。本技術は、マルチチャンネル音響の平均ラウドネス値を基準としてダウンミックスのレベルを調節し、マルチチャンネル音響と同じ平均ラウドネス値に補正します。
(3)低遅延・全自動・リアルタイム処理
ライブ制作・生放送でも活用できるように、適切な処理能力のプラットフォームに実装することで、低遅延かつ全自動でリアルタイム処理できるアルゴリズムを開発しました。
関連特許
・特許第6637735号 音響特徴量調節装置およびプログラム
・特許第6637736号 ラウドネス調節装置およびプログラム
・特許第6858072号 音声信号補正装置及びプログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHK財団のWebサイトから離れます)
≪キーワード≫サイマル放送 / ダウンミックス / マルチチャンネル音響
本技術の利用に関するご相談窓口:URL https://www.nhk-fdn.or.jp/es/transfer/contact.html