恍惚こうこつの人となり亡き父を呼ぶ桜吹雪に似た母の声

福岡県 地代 友美 (51歳)

認知症が進み、ほとんど発語のなくなった九十一歳の母は、亡くなった父のことだけは忘れずに、いつも「お父さん、お父さん」とつぶやいています。車椅子を押して桜を見に行ったときも桜を見てお父さん、と呼ぶ母の声が散る桜のように切なく柔らかくて心にみました。

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