亡夫が入院して最後の日々を送ったのは、京都の如意にょいヶ嶽たけ(大文字山)のすぐそばの病院だった。送り火の日は鎮痛剤のせいで意識朦朧もうろうとした夫のそばで、窓のすぐ近くで炎や煙をあげる大の字を見ながら、過去の霊たちが夫をともに連れていってしまいそうな、胸苦しい思いで見ていた。