送り火があなたを連れてゆきそうだ炎と煙の病室の窓辺

京都府 那須 芳 (77歳)

亡夫が入院して最後の日々を送ったのは、京都の如意にょいたけ(大文字山)のすぐそばの病院だった。送り火の日は鎮痛剤のせいで意識朦朧もうろうとした夫のそばで、窓のすぐ近くで炎や煙をあげる大の字を見ながら、過去の霊たちが夫をともに連れていってしまいそうな、胸苦しい思いで見ていた。

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